ロボットアニメの名作として挙げられることも多い劇ナデ。
私もこの作品が大好きで、今回4回目の視聴となるが、その感想を書いていきたいと思う。
まとまりがないかもしれないが、良ければ見ていってほしい。
墓場でのやり取り
いきなりだが、私は劇ナデの中でも墓場でのやり取りが大好きだ。
このシーンを見たいがために、何回も見直しているといっても過言ではない。
まず、アキトがイネスさんのお見舞いに来ているのがいい。
イネスさんの三回忌にお花を添えにきている辺り、やっぱりアキトはアキトなんだなと嬉しくなるからだ。
このシーンまでの間に、復讐で変わってしまったアキトを見ているからこそ、本来の彼の優しさを感じられてなおさら嬉しくなる。
北辰らが現れてからの一連の展開も大好きだ。
あの優しかったアキトが躊躇なく銃を撃っている姿を見ると、愛する者を奪われたことは彼を変えるのに十分すぎたんだと感じる。
ディストーションフィールドで銃を弾く北辰。
北辰衆に囲まれて絶体絶命のルリルリたちの前に現れる月臣があまりにもかっこよすぎる…。
登場とともによくわからん口上をかましてるのも良い。
「木蓮式抜刀術とは暗殺剣に非ず!」
月臣の木蓮式柔を見て「木蓮式…柔」と呟くアキトのノリノリっぷりも好き。
やっぱり根はヒーロー好きだな!
そして、かの有名なルリルリとのやり取り。
「君の知るテンカワアキトは死んだ。彼の生きた証、受け取ってほしい」
復讐のため、既に自分を捨てているのだなと感じられる台詞。自分のことを「彼」と表現しているのが切ない。
そう、コックを目指すテンカワアキトは死んだのだ。
ここにいるのは、黒衣の復讐者のみ…。
「感情が昂ると、ボーっと光るんだ。漫画だろ?」
これまで冷徹な態度を取っていたアキトが、やっと微笑しながら発した台詞がこれなのだ。
あまりにも痛切。この一言に、アキトの嘆き、悲しみ、様々な感情が込められている。
さらに、アキト役であるうえだゆうじ氏の演技が素晴らしく、深い闇を背負いながらもかつての仲間に笑いかける、その複雑な感情を声で表現している。
ナデシコ特有のノリ
前述の通り、本作はギャグ要素が強かったTV版に比べシリアス成分が強いが、ナデシコ特有の緩いノリも健在。
例えば、ジュンとユキナのやり取りなんかはシリアスで重い雰囲気に対していいアクセントになっている。
アカツキやヒカルらといった旧ナデシコメンバーの軽いノリも、全体的に重い本作のいい清涼剤となっているし面白い。
この緊張と緩和のバランスが素晴らしく、1時間を超える上映時間であっても中だるみせず楽しめる。
ルリルリの魅力
色々語ってきたが、これも外せまい。
そう、ルリルリの魅力だ。
お風呂シーンが特に良い。
まず、いつもはツインテールにしているルリルリが、髪が濡れないようにまとめているのがいい。
艦長として気を張っている彼女が、ボーっとリラックスしている様が良いのだ。
また、細かいところではあるが、彼女が救い上げたお湯が宇宙に見える演出も上手い。
その宇宙に吸い寄せられるように、アキトへの想いが交錯する。年頃の女の子らしさを感じさせて、これがまた彼女の魅力に一役買っている。
だが、このお風呂シーン最大の魅力はそこじゃない。
そう、立ち上がる時の胸だ。
一瞬だけ見えるその小さな胸に、スタッフのこだわりを感じる。
心臓をバクバクさせ、このシーンをコマ送りにして見た紳士諸君は数知れない。
星の数だけ紳士がいるのだ。
湯上りの青い浴衣もルリルリにピッタリで、いつもより大人っぽさが増して思わずドキッとしてしまう。
たった2分にも満たないワンシーンにルリルリの魅力を詰め込んでしまうのだから、全く恐ろしい映画だ。
熱い戦闘
戦闘面で外せないのが、北辰との最終決戦。
掴みどころがなく不気味な雰囲気を放つ北辰だが、アキトの一騎打ちを受け入れる。
実はこれが重要で、最後まで北辰が不気味に終わっていたら作品の締めとして後味が悪い。
だが、主人公との一騎打ちの末に潔くやられたことで、見ている側としてはスッキリとした気分で終わることが出来る。
「見事…」と一言だけ相手を称賛する言葉を発して散ったのもカッコよく、北辰を魅力的なキャラクターに仕立てている。
最終決戦の魅力はこれだけでなく、主人公機であるブラックサレナにも大興奮だ。
抜き打ち後、アーマーをパージして「エステバリス」の姿が現れたのには誰もが感動したはず。
さらに、そのエステバリスから黒いオイルが流れており、まるで復讐を終えたアキトの心情を代弁するように「泣いている」姿はあまりにも有名。
アキトはユリカ救出後に去ってしまうが、それでも希望を感じさせるエンディングで後味は良い。
いつか続編が製作されるその日まで、私は夢を見続けたいと思う。
星の数ほどいる、続編を待つ人々と共に。